そして、高校生活が始まった。
夢に見ていた華のJK。

真新しい制服を着て、まだ馴染まないのを少し窮屈だと思いながらも、しゃぼん玉のようにふわふわと揺れ惑う感覚で入学し、勉強や部活に一生懸命取り組み、友達と喋り倒し、時には授業を少しサボったりなんて…。
そんな生活が私を待っていると思っていた。

だが、現実は残酷だ。
私の高校生活は思い描いていたものとはかけ離れていた。

毎日襲ってくる発作からの不安、恐怖、苦しみ。
そして人への不信感。

授業も思うように受けれず、最初こそは楽しかった部活動も思うように体が動かず周りに迷惑をかけてしまうと思い、行きたくても行けなくなってしまった。

それでも、深海のように暗く重い水の中を進むように、もがきながらも自分なりの高校生活をなんとか生き抜いて過ごしていた。

「諦めたくない。まだ頑張れる。」
そう信じて頑張っていた。

そうして半年以上やって来た。
だが、体はとうに限界を超えていた。
毎日訪れる発作。毎日訪れる理由のない孤独や不安、そして何も出来ない自分への劣等感で押しつぶされていた。

体は正直だ。心はどれだけ自分の言葉で誤魔化していても、体は誤魔化せない。

あぁ、もう、疲れたな、

そう思った瞬間、ぷつんっ、と何かが切れる音がした。

それは、心の糸が切れた音だった。

今まで誤魔化していた心。
蓋をしていた本心が、声を上げた。
今までどれだけ体に負担がかかってもなんとか誤魔化して過ごしていたが、心の蓋が空いてしまえば今まで積上げてきたものが崩れるのなんてほんの一瞬だった。

その瞬間、私は今までにない恐怖と不安、焦燥感にかられて一気に激しい発作に見舞われた。
どれほど苦しんで、発作を起こしたあとどうなったかは何も覚えていない。
けれど、その日のことは一生忘れないだろう。