「ちょっと肌寒いけど、この時期の海を先取り花火大会なんて、なんだかわくわくするね〜!」

みほも嬉しそうな声を出して最初の花火を手に取った。

「手持ち花火提案した俺天才かもしれないわ。まじで2人とも俺に感謝しろよ?」

そんなことを言ってかなたも嬉しそうに最初の花火を手に取る。

「ほら、紫桜も。3人同時に火付けて始めるのが手持ち花火の醍醐味だろ?早く持てって。」

急かすように言いながら、かなたは少し微笑んで私に最初の花火を手渡した。

3人だけの、小さな小さな花火大会…。

そんな少し青春っぽいことを今からすると考えると、なんだかむず痒さを感じたが私の気持ちも高揚を感じていた。

「うん、ありがとう。じゃあかなたがみんなの火付けてね。」

そう言った私の合図で、かなたはみほ、私、自分の順番に火を付け、大袈裟に手持ち花火大会の開幕を宣言した。