夢子ちゃんは涙ぐんでる。

あんたのその涙が、本物だってわかるから、私はあんたが好きなんだよね。
可愛い後輩だよ。


「ウメちゃん」


後ろから和泉さんが声をかけてきた。


「あらためまして、おめでと。これ、あげる」


「ありがとうございます。何ですか?」


「パンツ。妊婦パンツ」


私は周りに見えないように紙袋をそおっと覗く。
パッケージに入った二組の大きめパンツが見える。


「まだお腹は出てないと思うけど、つわりだし圧迫は苦しいでしょ?よかったら使って」


「和泉さん……すごく嬉しいです。ありがとうございます!」


そうなの!
ずっと圧迫がつわりを悪化させるようで、ダルっダルの使い古した綿パンツをはいてきたこの1ヶ月!

部長と同居で洗濯は一緒になるのに、こんなパンツ干すの恥ずかしいなぁと思ってたところだった。


やっぱり神様かも、和泉さんて。


「出産まで応援するからね!」


「私もします!!」


夢子ちゃんも横から言った。


なんだか、味方はいるみたい。


ちらりと一色部長の方を見ると、もう部長は外出するところだった。
何事も無かったみたいに。