私は息を飲んだ。

部長はなんて答えるだろう。


「そうですね、最初は仕事ぶりの真面目さが気に入っていたんですが」


一色部長は淀みなく続ける。


「そのうち、彼女の気さくな人柄に惹かれました。お互い酒好きで気も合いましたしね。私から告白してプロポーズしたんですよ」


彼の口からスラスラ出てくる大ボラ。

こ……この男!
模範解答を用意してやがった!!


たぶんこんな事態になることを予測してたんだ!


「あ、あとですね」


一色部長は目を細め、いかにも嬉しそうに笑って見せる。


「寝顔が可愛いんですよ、彼女」


「はっ!!??」


私は横で声をあげてしまった。
コノヤロウ!
何リップサービスしてんだ!!


「ひゃー、朝からご馳走さまだね!!お二人ともお幸せに~!!」


森部長が元の位置に逃げ帰り、オフィスに割れんばかりの拍手が満ちる。

そして、朝ミーティングは終わった。