「ぶ~ちょ~お~」


私はダラダラ涙を流しながら迎えた。


「どうした!梅原!」


その姿に驚いた部長が、靴を脱ぎ捨て駆け寄ってくる。


考えてみたら、やや怖い光景だ。

ボサボサ頭に汚れた部屋着、
頬がコケた妊婦がキッチンでさめざめ泣いている。


「わっ…私っ、私のせいで赤ちゃんが……」


「落ち着け。落ち着いて話せ」


「気持ち悪くて、……何にも食べらんなくて……水も……、赤ちゃんに栄養がいかなかったらどうしようって……!」


私はしゃくりあげながら言う。
貴重な水分が涙になって身体から流れていく。

部長は私の有り様を見て言った。


「ずっと飲み食いできてないのか?」


私は頷く。


「腹の子はともかく、おまえはまずそうだな。車で来てるから、一緒に病院に行こう」


「まだ……朝7時ですよ……」


「電話いれてみる。診察券を貸せ」