部長が取り出した本の名前。


プレママさんが読む本


プレママ?
妊婦ってこと?


「妊娠の経過と出産、育児までが簡単にまとめられてある。どうせ、梅原のことだ。こんな気の利いた本は買ってないだろう」


「やー、確かに買ってないです。こんな本があることも、知らなかったです」


「ちなみに俺はもう、ざっと目を通した。おまえが持っておけ」


「はぁ」


もしかして、一色部長、
ちょっと浮かれてませんか?

いや、そんなことないよね。

仕事バリバリ精神で、妊娠に挑むとこうなるんだよね。


部長が帰っていき、私は久しぶりに少し楽な気持ちになった。

すごい。
部長と話したら、身体が楽。

もしかしてお腹の赤ちゃんが「パパが来た!」ってつわりを緩めてくれたのかな?

なーんて、私らしくもなくロマンチックな思考!
そもそも、赤ちゃんがつわりを緩められるなら、もっと早くしてくれて当然だよね。
だってこのまま私が食事できなきゃ、ベビーだっておまんま食い上げなわけだ。