私は恥ずかしくて、嬉しくて、涙ぐみながら照れ隠しに笑った。


「みなみの弟妹なんて……気が早いなぁ」


「家族を増やしたいんだ。おまえも俺も兄弟がいないだろう?だから、みなみにはたくさん弟妹を作ってやりたい。うるさいくらい賑やかな家族にしたい。おまえが子どもたちを追い掛け回すのを見たい。みんなでわいわい食卓を囲みたい。
もし、俺かおまえのどちらかが先にいなくなっても、幸せだって胸を張れる家族を作りたい」


父親を亡くした彼の望み。
誰も残される不安と悲しみに沈んでしまわないように。
この人を知った今なら、その気持ちが痛いほどわかる。


「俺とおまえなら、そんな家族が作れるんじゃないかな」


部長は私を真っ直ぐ見つめて話す。


突如やってきた赤ちゃんが、上司と部下だった私たちを結んでくれた。
私たち二人は家族になり、そしてメンバーは三人に増えた。
彼はもっともっと絆を、愛を増やしたいんだ。

そんな風に思ってくれることが嬉しい。