次に気付いたのは、17時近くだった。
外は日が高く、まだまだ夏の夕暮れは訪れない。
明るいリビングで目覚めた私は、時間の感覚が麻痺し、奇妙な世界に迷い込んだ気分だった。


見ると、部長がみなみを抱いている。


何を話すでもなく、抱っこで軽く揺すりながらリビングを歩いている。
みなみは泣きもせず、じっと部長を見つめている。


私はソファに転がったまま、二人を見守った。

ああ、この二人は確かに親子だ。

似ているとかではない。
二人はあるべくして、そうしているように見えた。


私が産んだ子を私の夫が抱いている。

幸せな幸せな光景。
二人がキラキラ輝いて見える。

今さらながら感動で涙が滲む。



「ママが起きたぞ、みなみ」


部長が私の目覚めに気付き、言った。
私は目頭の涙を拭って、身体を起こす。