へその緒をつけたままのポンちゃんが、時田さんの手により、私のお腹にどすんと乗せられた。


「可愛い女の子ですね。握手してあげてください」


私は泣くポンちゃんの手をぎゅっと握る。
次に部長も握る。

その時には、すでに部長の両目からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。


私はポンちゃんを見つめる。

10ヶ月間ひとつの身体で過ごしてきた命が、今、ひとりの人間として目の前にいる。

ポンちゃんは想像してたよりずっとムッチリしていた。
4Dエコーで美人だと思ってたのに、お猿みたいな顔だ。
一重だし、お鼻もぺちゃんこ。

時田さん、言うほど可愛くないよ?

でも、不思議。
このブサ顔な泣き顔が、
世界で一番いとおしく思えるよ。


「会いたかったよ、ポンちゃん……」


私の目からも自然と涙がこぼれていた。


「よくきたね。ありがとう」


私の言葉に耐えきれず部長が嗚咽する。

ポンちゃんはいつの間にか泣き止んで、きょとんと私たちを見ていた。