でも、ポンちゃんは動いていない。
時田さんの腕にもたれて紫色のまま動かない。


「先生!!泣かないんですか!?」


私は必死に叫んだ。
ポンちゃんが泣かない。
産まれたての赤ちゃんは泣くんでしょう?
それにポンちゃんはいつまでも血の気がない!


「あ、大丈夫。羊水飲んじゃってるんですよ」


先生は言いながら、ポンちゃんの口にホースみたいなものを入れて、慣れた様子で羊水を吸引。

すると、ポンちゃんが顔をぎゅっと歪めた。
そして、



「おああああああっ」


ポンちゃんの産声が聞こえた。
紫だった肌は見る間に健康な肌色になる。

ポンちゃんが……産まれた。