ん?
待って?
頭が見えたって言ってたよね。

頭が見えたなら、あと少しなんじゃなかろうか!!!
痛いのも苦しいのも終わりにできる!!
そうに違いない!!

私は最後の力を振り絞って、息を吸い込んだ。
凄まじい陣痛の波が来る。
それに合わせて全力でいきんだ。


何かが頭の奥で弾けた。


「一色さん、もういきまなくていいです!はっはっはっと短く呼吸して!」


私は指示された通りに夢中で呼吸する。
銀縁先生が入ってきた。
急いで、私のおしも側にまわる。


「赤ちゃん出ますよー」


その言葉とともに、ズルズルズルッと身体から何かが抜け落ちた。

え?
今のって?


「佐波!ポンが出たぞ!」


部長の声。
足の間に見えたのは、紫色の血まみれの……ポンちゃん?