「一色さん、だいぶ良い陣痛が来てますね。LDRに移動しましょうか」


え、あのLDRに?
陣痛から分娩まで行って、その後の休息まで過ごす部屋?

私の想像だと、もう少し早く移動なのかと思ってたんだけど。
このタイミングで?

今現在、めちゃくちゃ痛いけど?


「車椅子とかで?」


「近いです。歩きますよ」


あっさりとしたご返答。
何言ってんだ、こいつ。
くらいな口調だ。

鬼!
鬼巨乳メガネっこ!

心の中でののしってみる。
無駄だけど。

陣痛がおさまった瞬間にエイヤッとベッドから降りた。
部長と時田さんに支えられつつ、歩く。もう一歩一歩が痛い。