一色部長は私の右手首をつかんだまま、しばらく黙っていた。


「梅原、決めたぞ」


ようやく部長がそう言ったのは、たっぷり5分は経った頃だった。
この間は長かった。
次の言葉を待つ。


「よし、産め!」


「はぁっ!?」


「責任をとってやると言ってるんだ!」


「あの、それは養育費的な話ですか?認知とか?」



「違うッッ!!おまえと結婚して、二人で子どもを育てようって話だ!!」


えー!?
何言ってんの、この人。


私の中に、
正直そんな選択肢は無かった。