予定日翌日。

私はマタニティビクスに来ていた。
予定日超過してたって、陣痛来てないんだもん。
スタジオは来ていいんだもん。

そんなやさぐれた気分でビクスを受ける私。

救いなのは、今日は馴染みの枝先生のクラスってことと、
走ると気分が少し晴れるってことだ。


運動を済ませ、のたのたと着替えていると、枝先生が話しかけてきてくれた。


「一色さん、調子はどうですか?」


私は笑おうとするけれど、へにゃっとした力ない空笑いになってしまう。


「なんか……陣痛こなくて……予定日も過ぎちゃって……自分にがっかりしてます」


「がっかり?なんで、また」


枝先生が明るく言う。
私は大きなお腹に腹帯を巻きつけながら、呟くように答える。


「陣痛が来ないのは、私に赤ちゃんを産む力がないのかなって」