「そそそそそそれは、あっあの夜のって……ことだよなっ!!」


盛大にどもりながら、一色部長が言う。
うわぁ。
慌てると、こうなるんだ、この人。
私は頷く。


「信じてくれるんですか?」


「おっおまえがっ、嘘言うようなヤツじゃないのは知ってるっ!」


信用はあるみたい。
私はお腹を触ったまま、頭を下げた。


「すみません、堕ろそうかと思っていたんですが、赤ちゃんの心音を聞いたら……できなくなりました」


「梅原、おまえ……」


「赤ちゃんは、ひとりで産もうと思います。実家の群馬に戻って。親が手伝ってくれると思います。部長には、ご迷惑をかけないようにしようと思いますので……」


「なぁに言ってんだぁっ!!!この大馬鹿がーっ!!!」


またしてもフロアに響く大絶叫。