「前駆陣痛でしたね」


もう一度、内診してくれながら、助産師さんは軽く言った。


「まぁ、お産が近付いている証拠ですよ。また、おうちで様子を見てみましょうね」


「予定日、明日なのに」


日付が変わった。
予定日は明日にせまる。
なのに……。

私の口調にはやり場のない悔しさが滲んでしまう。


「陣痛が起こらないなんてあるんですか?」


「予定日は飽くまで目安ですからね。そう気にしなくても平気ですよ。お産が進むように、おまじないしておきましょうね」


助産師さんの優しさである、その痛い内診を再び受け、私はヨロヨロと診察室を出た。


「帰ろう」


ノンストレステストの時点で、すでにすべてを察していた部長は、私の肩を抱くと歩くのを支えてくれた。