「リョーヤ、今、幸せ?」


私は笑い止んで問う。
リョーヤがぶんぶん頷いた。


「ハルカちゃんめっちゃ我儘やし、結構コドモやから、時々疲れるけど……でも幸せやで」


「そっか。私も幸せ」


一度は、リョーヤを父親に仕立ててしまおうかと画策した。
そんなことを欠片でも考えた私は最低だった。

あやうく、部長もリョーヤもハルカちゃんも、そしてポンちゃん自身も不幸せにしてしまうところだった。


私の人生設計の中に、この優しい男の子と結婚する夢が無かったわけじゃない。
でも、これでよかったんだ。

私はポンちゃんを授かり、部長と恋することができたんだから。


「お互い、よかったね」


こうして、偶然会えたこと。
お互いが幸せでいること。


「遅ればせながら、ご結婚おめでとう」


「おお!おまえこそ、ご結婚とご懐妊おめでとぉな」


私たちはにっと笑い合った。