「ギャー!ハゲちゃう!」


「生意気な嫁はこうだ!」


私を捕まえようと部長が更に手を伸ばす。
私は頭を押さえて、夜道を逃げ回った。

あ!

身体がよろける。
ちょっとしたコンクリートの段差につまづいてしまったのだ。
部長が即座に、荷物を放り出して私を抱き寄せる。


「……調子に乗りすぎたな」


「ええ、お互いに」


私たちは誰も通らない住宅街の路地で、しばし抱き合った。


もうじき、私はこの人の子を産む。


明日から36週。
10ヶ月目だ。