「おまえのデスクの私物、だいぶ荷物になってるだろう。他にも、花束やプレゼントももらってるんだから、俺が持つ」


「荷物は持ってもらえると嬉しいですけど、一緒に帰らなくても平気ですって」


「いーから。一緒に帰るぞ」


部長が押し切る。

特に異存の無い私は、素直に頷いた。
部長は社長や日笠さん、森部長や和泉さんのいるテーブルに戻っていった。
一色大部長殿、過保護度が上がってますぜ。


「一色部長、優し~」


私たちのやりとりを見ていた周りの社員がため息。


「家でもあんな感じ?」


聞かれて、私はまたも頷く。


「割と心配性です。お腹が張るとすぐに『座れ~』って椅子持ってくるくらい」


「いやー、想像つかないな」


「鬼の一色部長も、家では心配性の愛妻家か」


「ウメちゃん、やっぱめちゃくちゃ愛されてんね」


以前の私なら『どうせ、ポンちゃんが大事なんでしょ』と軽くやさぐれるところですが、
今は自信をもって言える。

私、愛されてるって!