赤ちゃんの鼓動が聞こえる。

力強い音。

画面で星のように瞬く命の輝き。


生きてるんだ。


私の中で間違いなく、
生きようとしてるんだ。


「今、梅原さんの中で動き出したこの子の心臓はね、この子の人生が終わるその時まで動き続けるんだよ」


先生が言った。
その言葉で、私の両目から堰を切ったように涙が溢れだした。


生きてる、
この子は生きてる。

駄目だ。
私にはこの子は殺せない。

私の勝手でできたのに、
この子はきちんと自分の人生を生きようとしてる。


殺せないよ。


泣きじゃくる私に看護師さんがティッシュを渡してくれる。
後から考えれば、この人は助産師さんだったのだ。


「まだ、時間があるから、もう少し考えたら?」


私は頷いた。

頭の中でいつまでも赤ちゃんの心音が鳴り響いていた。