「佐波、少し話してもいいか？」


「？」


私は首を傾げ、その後頷いた。


「おまえが転職してきたのは3年前だよな」


「ええ、もう3年ですね」


「その時、俺はおまえとこうなる未来なんて想像もできなかった」


それは、私もそうですって。
しかも部下時代は鬼軍曹だと思ってましたよ。


「子どもの責任を取りたくて結婚しようと言った時だって、俺はおまえを部下として見て言っていたと思う」


「やー、私も上司だと思ってましたよ」


「ずっと、気になっていた。おまえは上司命令で俺と結婚したんじゃないかって」


上司命令で？


「イヤイヤ、さすがに命令で結婚しませんって。ポンちゃんのためにって、自分で決断したんです」


私はからっと笑う。
間違いで授かってしまったこの子の人生を肯定してあげたい。
そのために私たちは一緒になろうと決めたんだ。

決断は二人のものだけど、それぞれ考えて出したことだ。