「大丈夫か?悪かった。昼間から歩かせ過ぎたな」


「張るのはフツーですよ、心配するレベルじゃないですって」


私は受け取ったお茶のペットボトルを開けながら、笑って見せた。
部長は心配そうに私のお腹を撫でた後、顔を上げた。


「佐波、これもらってくれるか?」


部長はポケットから小さなケースを出す。
某ブランドのロゴ。
開けてみると、ピアスが入っていた。

ピンク色のダイヤモンドがついた可愛いピアスだ。


「えー!?いいんですか?」


「誕生日プレゼント。いつ渡すか悩んで、結局今になった」


「いやー!嬉しいですよー!」


はしゃぐ私に、真面目な顔の部長。
あれ?まだ何かある?


「おまえには、婚約指輪すら渡してなかったからな。兼用で悪いんだが」


「そーんな、婚約指輪なんていらないですよ!あ、でもこれは嬉しいんで、いただきます。へへへ」