私が黙りこくってしまったのに気付き、部長が顔色を変えた。
苛立ちではなく、失敗したという表情になる。


「佐波」


「スミマセン。自惚れてました」


小さな声で言う私の手を、部長がぎゅっと握った。
そのまま、手を繋いだ状態で歩き出す。


「いや、さっきの言葉は取り消させてくれ」


私は横を歩く部長の顔を見上げる。
部長は夜目にもわかるくらい、動揺した顔をしていた。


「自惚れていい。おまえが日笠さんと仲良さそうに見えて、少し……少しだけ妬いた」


「ゼンさん……」


「他の男を簡単に褒めないでほしい」


ヤバイ。
胸がめちゃくちゃ痛い。

たぶん、トキメキがマックスになると、こんな感じだった気がする。