枝先生は彼女のお腹を触り、痛みが周期的に来ていることを確認すると、スタジオスタッフさんを呼んだ。
スタッフさんが産院に連絡を入れる。


「痛い……先生痛いよぉ……」


土橋さんはお腹を押さえて苦しそうな息。
固唾を飲む私たち。
枝先生が落ち着いた声で彼女に語りかける。


「土橋さんね、たぶんこのままお産が始まると思います。今、スタッフが来るので、産院に移動しましょうね」


「でも、……痛い。動けない……」


「大丈夫。痛みの間を縫って移動するから。赤ちゃんともう少しで逢えるからね。安心していいよ」


子どもをあやすように言う枝先生。
泣きそうな土橋さん。
痛みに耐える彼女は、一度唇をぎゅっと結んで、それでも力強く頷いた。

彼女はこれからママになりに行くのだ。