「ごめん!佐波!俺と別れてくれぇ!!」


リョーヤは頭を下げていた。

え?

あれ?

プロポーズは?



「え?どゆこと?」


「すまん、佐波!俺、おまえと会えへん間にお客さんと浮気してもうた!」


「っ……えー!?」


「ほんでな、その子ハルカちゃんていうんやけど、この前の日曜日、デートやって嘘つかれて、家に連れてかれてしもうて……」


リョーヤはしおしおと背を丸め、泣きそうな顔。


「ご両親に挨拶するハメになったんや!こうなっては、俺がハルカちゃんをもらってやるほか、ないやろ?それが義理人情ってやつやないか?」


あー、バカだ。
相手の女は私の存在を知ってたんだろうな。
そんで、先手を打ったわけよ。

別れざるを得ない理由作り。

これでダメなら、
子どもができたーって言うタイプだぞ、その女。


バカなリョーヤ、
優しいから、そんなずるい、最悪女に引っ掛かっちゃって。



……いや、最悪度合いは私も一緒か。

優しいリョーヤに全部背負わせちゃおうって、欠片でも考えてたんだから。