イエイエと私は顔の前で手を振った。
照れるなぁ。
でも、部長とのこと、そんな風に言ってもらえると嬉しい。


「佐波くんは、あいつの母親に少し似ているよ」


私は照れ笑いを消した。

社長は部長のお母さんのことを知っているんだ。


少し悩んでから、私は質問してみる。


「社長、私まだ、ゼンさんのお母様にお会いしていないんです。彼もご家族のことになると口が重くて……、軽々しく会いたいとも言えないでいるんです」


「……そうか。佐波くんに話してないのか」


社長が呟くように言った。
それから、私をじっと見つめる。


「僕はゼンが大学生の頃から知っている。僕がちょうど前職の代理店から独立を考えていた時に、あいつはインターンシップで来ていた。生意気で頭がきれるガキでね」