固唾を飲んで見守る私たち。

先生はエコー画面を指さす。


「結論から言いまして、赤ちゃんは元気です。子宮口も閉じています。尿も血圧も大丈夫。切迫早産や他の異常の所見もありません」


「じゃあ……出血は……」


「それは、子宮膣部びらんですね」


「は??」


聞いたことない病名に私も部長も変な顔。


「これは、病気ではなくて状態を指す言葉なんですが、子宮の入り口部分がびらん状に見えるんです。成人女性の八割にあると言われます。ここは妊娠中、ちょっとした刺激で出血しやすい」


先生がプローブを動かしながら言う。
ポンちゃんの手か足らしき部分が映っている。


「今日は頻回張りを感じたそうですね。張りは子宮の収縮で、生理現象です。疲れが溜まっていると張りやすい傾向があるので、張りが刺激になっての出血かな。よくあるのは、性交渉や内診の刺激ですけどね。
冷やさないようにして、疲れや張りを感じたら意識的に休憩してください。あまりに張りが強い、続くようでしたらまた受診してくださいね」


先生の言葉が終わるか終わらないかのうちに、真横でどさっと音がした。