部長の運転で産院に着くと、玄関であのメガネっこ助産師(本名を時田さんという)が待っていた。


「診察室へどうぞ。間もなく先生が来ますので」


メガネっこの口調はいつもに増して固かった。

診察室へ入るとまた不安が頭をもたげてきた。
怖い……。

私の泣き腫らした顔を見たのだろう。
メガネっこ時田さんが、私の前に膝まずいた。

驚く私の手を大きな胸の前でぎゅっとにぎる。


「もう少しで赤ちゃんの様子がわかりますからね」


思わぬ温かな感触に私の心が和らぐ。
すぐに先生がやって来て、彼女は奥に引っ込んだ。

内診、エコー。
部長は隣にいる。

エコーを見ながら、先生が頷いた。


「うん、わかりました」