そうだ、部長に連絡しなきゃ。

部長は電話にすぐ出た。


「今、駅についたぞ。あと10分以内に帰る」


「部長!病院まで車を出してほしいんです!」


私の泣き声がわかったのだろう。
部長は細かく聞く時間も惜しいように、
「わかった、すぐに戻る」
とだけ答え、電話を切った。

部長の登場は凄まじく早く、息をきらしていたので、彼が駅から走ったことがわかった。


「どうした!?」


「部長!」


私はリビングに現れた部長に飛び付いた。
彼の肩に手を置き、すがるような姿勢で事の次第を話す。
怖くて涙が止まらない。


ポンちゃん!
私のポンちゃん!

出血なんて何があったの?
お願いだから、無事でいて!


「落ち着け、佐波」


部長が私の肩をぐっとつかむ。


「ポンは27週だ。もし、このまま早産になったとしても、育つ可能性のある週数だ。近くの武州大学病院にはNICU(新生児集中治療室)もある」