「梅原さん、誤解しないでね」


お姉さま社員が言った。


「私たち、確かに一色部長のこと大好きだったけど、それってファン心理だからさ。彼が死ぬほど厳しい鬼部長なのは知ってるのよ」


他のコたちも言う。


「見てるだけでハッピーっていうか?実際にお付き合いして結婚は無理だよねーって、みんなでよく話してたんです」


「だから、あの強者を落としてゴールインした梅原さんは勇者だよ」


「勇気っていうか、ガッツがあるよね!」


「結婚生活、頑張ってね。勇者様」


彼女たちは言うだけ言って去っていった。
花嫁を勇者扱い。
一切悪気はない様子。

こんなところもマイペース。
さすがだぜ、女子って。

ま、祝福されてるみたいだし、よしとしましょう。


私はもう一度、部長を見やる。
部下たちに囲まれた彼はゲラゲラ笑いながらお酒を飲んでいる。
まあ、楽しそうだこと。