「ポンのいる腹が目立って、逆にイイカンジだな、そのドレス」


部長が照れ隠しなのか、ドレスを褒める。
お式が7ヶ月目なので、ある程度お腹を考慮してえらんだのはAラインドレス。

ビスチェタイプで胸の下に切り替えがあり、そこからはレースも飾りもないので、ポンちゃんのいるお腹の丸みは割とはっきり見える。

マタニティウェディングだと、隠したい新婦さんも多いみたいだけど、
私はポンちゃんも一緒にお式参加って感じにしたかった。
わざと目立つデザインを選んだんだ。


「なんか、ワクワクしますね」


私はふふふと笑う。


「まあな」


部長もニッと笑った。




正午ぴったりに私たちの挙式が始まった。
チャペルの扉が開く。

讃美歌を歌うお姉さんたち。
パイプオルガンの響き。

隣にはすでに号泣している父。


「お父さん、しっかりして」


「うぅう……佐波ぁぁ」


バージンロードを進みたいのに、お父さんたら涙で前後不覚だ。