「信じてます」


私は部長の両手をとった。

部長が少し驚いた顔をしているのを、じっと見つめる。


「感じ悪いこと言ったり、家出したりしてすみませんでした」


両手に力を込める。
今はこれでいい。
この距離がちょうどいい。

ポンちゃんを囲んで、また私たち、運命共同体に戻ろう。


「また、夫婦として仲良くしてください」


「当たり前だ、馬鹿。
……あと、たまには部長以外の呼び方をしろよ」


「はい……、えっとゼンさんで……いいですか?」


部長がやっぱり目をそらして頷く。
恥ずかしいんだね。

私だって恥ずかしいよ。


「ゼンさん、これからもよろしくお願いします」


そこから、私も部長も照れてしまって、しばらく何も言えなかった。

私たちが食卓につくのは、もう少し後のことだった。