話を聞きながら、私は泣いていた。

身体に子を宿した身として、彼女の苦痛が想像できた。
いや、完全にはわからないかもしれない。

最初、お腹の子を殺そうとした私には涙する資格すらないかもしれない。


「私たちは子どもを持つことを諦めたわ。平穏な日々が戻ってきた。私はオフィスワークのパートを見つけて仕事を始めたし、週末は以前のように夫婦二人でランチしたり、旅行に行ったりした。不妊治療中は排卵日や採卵日が気になって、あまり出かけようって気にならなかったから。

そしたら、不思議なことが起こった。自然に妊娠していたのよ。

でも、私はずっとビクビクしていた。心拍の確認ができて、つわりが始まっても、怖くて堪らなかった。お腹のチビちゃんが少しずつ大きくなって4ヶ月になった時、やっとお医者様が言ったの。

『初期流産の心配はなくなりました。おめでとう』

私たち、診察室で大泣きしちゃったわ。
それが、今お腹にいるチビちゃん。

きっと、いってしまったあの子が私たちに授けてくれたの。弟をお願いって言ってる気がする」


「男の子って、わかったんだね」


「うん、一昨日のエコーに映ってたわ」