夢子ちゃんは終話を押すと、私のスマホの電源を落とした。


「はい、これで静かになった♪」


夢子……あんた、強くなったね。
部長に怒鳴られて泣いてばっかだったあんたが……。


「ウメさぁん、何があったか知らないですけど、一色部長が明日から出張だとわかってて家出してきたんですよね?」


私は頷いた。


「じゃあ、2週間は話し合いできないってわかってますよね?失敗したての私が言いますけど、こじれると冷えきるのはあっという間ですよ?それでも、戻りませんか?」


私は少し口をつぐんで、やっぱり頷いた。



「今は、離れて頭冷やしたい」


「了解でーす。私はウメさんの味方だから、これ以上何も言わないでーす」


夢子ちゃんはニコニコ笑って、チョコレートケーキにフォークを突き立てた。

私は自分でもフルーツタルトをフォークで崩す。

味がよくわからなかった。