夢子ちゃんの部屋は鉄筋の古いマンションだった。
単身者専用ではなく、ファミリーも住んでいるような作りだ。


私は新宿駅で買った手土産のケーキを渡す。


「ごめんなさい。今晩お世話になります。……あの、マジで彼氏追い返しちゃった?」


夢子ちゃんはお茶を淹れようと電気ポットをいじっている。


「あー、大丈夫です。この前、別れちゃったんで」


あっさりと返事が返ってきた。


「え?そうなの?」


「もー、大変だったんですよー」


夢子ちゃんは失恋のダメージを露とも感じさせない調子で言う。


「私、総務の佐藤さんとちょっとイイ感じになってたんですよぉ。そしたら、それが佐藤さんの奥さんにバレちゃって。まだエッチもしてなかったのにですよ?」


ほうじ茶のティーパックを振って「飲めますか?」と聞く夢子ちゃん。
私は相槌もかねて、頷く。