私は「はい」と答えるつもりだった。
だけど、言葉は出てこず、代わりに涙が溢れ出した。


なんだよ、
なんだよ!

恥を忍んで言ったのに!

勇気を出したのに!


「おい、佐波」


「じゃー、エッチはアウトソーシングで願います」


私はボロボロ泣きながら、部長をぎっと睨み付けた。


「相手に困ったこと、ないんですもんね!!」


言うだけ言って、私は椅子から立ち上がった。
棚に置いてあった財布とスマホを手に、寝室に飛び込む。
コートをつかんで、玄関に向かう。

部長が止める暇はなかった。

私は家を飛び出した。