私たちは恋愛してたわけじゃない。
でも縁あって夫婦になったんだもん。
そういうことしたっておかしくないよね。

部長だって男だし。
発散の場を作るのは妻の役目だよね。


「いや、いい」


部長は一切迷わず答えた。


「お前が気を回さなくても大丈夫だ」


「え……?」


私は困って目で問い返す。
部長の言葉をすごく冷淡に感じてしまう。
真意が汲み取れない。


「現時点で、おまえとそういうことをする気はない」



その言葉は、はっきりとした意思を含んでいた。

断定的で、拒絶的に響いた。

ハンマーで頭を殴られたような?
冷水を浴びせられたような?

ううん、違う。

恋の終わりのような、痛すぎるショックが私の全身を襲った。