部長がもぞもぞと肩を動かし、顔をあげた。
といっても、身体を起こしたわけじゃない。
あごをどすんとテーブルにのせただけ。



「……ポンは……今日は動いたか?」


起き抜け第一声がそれですか。


「お昼前に1回、ビクスの後に1回ですかね?私が気付いた範囲では」


「そうか……」


部長はまたむにゃむにゃ。
結構飲んでるな。

ちょうどいいや、今なら普段できない話もできそう。
私は頬杖をつき、ずいっと顔を近付ける。


「部長ー」


「……なんだぁ?」


「部長は私と結婚しちゃってよかったんですか?」


「はぁ?」


「泣かせた女の2、3人いたんじゃないのかなって」


「……意味が……わからん」


「付き合ってた人はいなかったんですか?ってハナシ!」


私が焦れて声を張る。

部長は酔眼をさまよわせてから、
へへへとらしくなく笑った。