「そろそろ、お腹がふくらんできたような気がするね」


社長は遠慮がちに、でも嬉しそうに私のお腹を見つめる。

部長いわく「親代わり」のこの人。
もしや、孫が産まれるような気分なのかな?
社長、独身だし。


「おかげさまで6ヶ月に入りました。お腹も少しだけ出てきましたよ!」


私が下っ腹をポコンと叩くと、社長が苦笑いした。


「こらこら……。でも、ホントに出てきたね。ウェストがきつそうだ」


「持ってるパンツの中で一番ゆるいのをはいたんですけど、パンパンですよね。近々、友人とマタニティウェアを買いに行く予定なんです」


社長が我がことのように微笑んだ。


「そうか、そうか。
ああ、そういえば佐波くん。今月末の出張は悪いね、ゼンを連れてってしまって」