私のお産かぁ。

主体的に考えてこなかったけど。

それは、私には産みたいように産む権利があるってことだよね。


ポンちゃん、どんなふうに産まれてきたい?
ママが決めてもいい?




「無痛に変えるの?」


帰り道の電車で美保子さんが聞いてきた。
彼女はにこやかで、私がどんな選択をしても、きっと笑顔は変わらないんだろうなぁと思った。


「今回は、普通分娩で産んでみようかな」


私は答えた。


「旦那サンもそれを望んでるし。……私も、『普通に平凡に』痛い想いして、この子をお迎えしたい」


思いもかけず授かった我が子、
だからこそ、普通に平凡に。

きっとそれが、私のためにもなる。
……気がする。


「でも、あんまり痛かったら、二人目は無痛にする!」


「それって良い案だわ」


美保子さんが美しく微笑んだ。