「でも、痛いのが怖いから……なんてただの甘えですよね」


枝先生がふふっと笑った。


「私は、妊娠出産に対する想いは女性の数だけあると思っています。そして、どの想いも無暗に否定したくありません。

いろんな考え方があっていいんだと思います。

痛いのが嫌な人、無痛を試してみたい人、高齢で体力的に安心なお産を選びたい人……。
逆に、とにかく自然に産みたい人もいます。助産院や自宅を出産場所に選ぶ人。医療介入は一切拒否なんて人もいます」


枝先生は続ける。


「一色さんのバースプランはどんなものか、考えてみてください。きっと、今の産院でもそんな話があると思います。
どう産みたいのか、どんな風に赤ちゃんと対面したいのか。
出産は出会いのセレモニーです。
でも気張らず、自由に考えていいと思いますよ」


「自由に……」


「ちなみに私は普通分娩で二人産んでます。痛くなかったとは言いませんけど」


え!
先生、お子さんいるの?
それでそんなにスレンダーって……。