「これ、胎嚢。赤ちゃんの姿はまだ見えないけどね。はい、妊娠してますね」


ここにきてようやく、先生は「妊娠」と言い切った。
それは、まだどこかで間違いだと思いたかった私の、安易で薄っぺらい気持ちをぶっ飛ばした。


「おめでとうって言っていいのかな?」


おじさん先生が言う。
私が「未婚」欄に丸していることを先生は知ってる。


「か……考えさせてください……」


私は内診台の上で言った。
声が震えていた。



梅原佐波。

27歳。

やっぱり、
やっぱり妊娠してます……。