そんな風に思ってもらえてたなんて。

私はまたしても涙腺が緩むのを感じた。
目をごしごしこする。


子どもを授かる幸福。


誰にでも簡単にやってくるものじゃない。
心して挑もう。

たくさん愛してくれた両親のためにも。

父の涙にもらい泣きしてくれた彼のためにも。


帰宅すると、父と部長は外まで聞こえるような大音量で喋っていた。
そうとうハイピッチで飲んでいると思われます、このおっさん二人。


「褝くんは本当にいいやつだなぁ!」


「ありがとうございます!私もお義父さんのような方の息子になれて嬉しいです!」



「……あれは、夕飯まではもたないね」


母があきれたように言った。
私も頷く。


「疲れたでしょ、布団敷くから、お腹の赤ちゃんとちょっと休みな」


お言葉に甘え、休ませてもらう。
次に目覚めた時は深夜で、
私は体力の低下をあらためて感じたのだった。


私たちが入籍したのは翌週の金曜。
15週0日、大安だった。