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携帯の画面を何度もじっと眺めていた。
あの丘で撮った何気ない写真。
空と、楓の葉と、UFOみたいなハトの影。
『自分が撮りたいと思った瞬間を撮ったことがいいんじゃないかな』
ハナはそう言っていたけれど、正直、わたしは本当にこれが撮りたかったものなのかよくわからない。
どれだけ見たって良い画じゃないし、とくになんの感慨も湧かないし。
たぶん、わたしは、ハナの真似をしたかったんだと思う。
忘れないようにと、憶えておけるようにと、何気ない一瞬を切り取って思い出にするきみのことを。分かり合えも、同じものになれもしないけれど、少しでも、近づけたらと思って。
電気も点けない暗い部屋の中で、ベッドにあおむけになりながら画面の光を見続けた。
そのせいで目が痛くなって、パタンと携帯を閉じながらぎゅっと目を瞑った。
不透明な暗闇に、いつかの記憶が流れていく。
──星空が浮かんでいた。
それは本当に、綺麗な星空。
小さな小さな手が、そこの星のひとつを掴もうと手を伸ばす。
だけど届かない、宝石みたいな、微かな光──