「ていうか、これさ」
くるりと、体ごとハナと向き合って、閉じたアルバムを突き出した。
「人の写真、勝手にアルバムに挟むのやめてよ」
「あ、嫌だった?」
「わたしが嫌なわけじゃなくて、普通、そういうもんでしょ」
呆れて溜め息を吐きながら、そう言えばまったく同じ会話をこの間もしたような、と思い出して、なおさら呆れた。
おまけにどんなことを言ったって、この人はちっとも反省しようとしないし、結局は、自分のペースに持って行く。
「セイちゃんが嫌ならこの写真、セイちゃんにあげるけど」
「……いらない。だってそれ貰ったって、どうせ新しいの現像しちゃうんでしょ」
「お、大正解。さすがセイちゃん」
「だってハナは、自分の残したいものは意地でも残すんだもん」
言うと、ハナはちょっと意外そうな顔をした。
なんで知ってんの、とでも言いたげな感じに、逆にわたしが首を傾げる。
「この間ハナ、わたしにそう言ってたじゃん」
「ああ、そうなんだ」
「そうなんだって……憶えておけよ、自分で言ったことくらい」
わたしでさえ憶えていたのに、このやろう。
ずん、とぬかるんだ芝の地面に傘を突き刺した。
なんとなく、むかつく、ってことを口に出して言いたくはないから、代わりにその思いを傘に託して芝をいじめる。
でも、思いがけず返ってきた返事は。