ハナがマイペースなのは出会ったときから変わりない。
たぶん、わたしと出会うよりもずっと前からこんな感じなんだろう。
ハナの写真整理は随分と時間が掛かった。
何にこだわっているのか、毎度毎度、そこに置く1枚をいくつもの中から選び抜かなければいけないせいでもあるし、それがわたしが知っているときの写真であれば、どういうときのものなのか、ということをいちいち訊ねてくるせいでもあった。
だけどそれは嫌な時間じゃない。
じっと黙って横から眺めていたりだとか、写真に写る風景を思い出して教えてあげたりだとか、隠し撮りされていたことに怒ったりだとか。
終始ハナのペースに巻き込まれていたような感じだったけれど、実はわたしとってもそれは、結構充実した時間だったりした。
ハナの写真整理に付き合いながら、思ったことがある。
やっぱり、あの写真を、ハナに見せてあげたいなと。
わたしの、いつかの思い出の写真。
小さい頃に見た、素直に綺麗だと思った景色。
きっと、ハナみたいに世界を見つめられていた頃の記憶。
真っ暗な空に、見たことのないような幾つもの星。
夜は暗いものと思っていたのに、本当はそうじゃなかったと知った。
明るい昼の青空よりも、ずっとずっときらきらしていた。
宝物を集めたような、届かない、彼方の、広い広い星空。
「…………」
決めた。
今日、帰ったらお母さんにアルバムの場所を訊こう。
絶対そうする。大丈夫、すごく簡単なことだ。
それでハナに見せてあげるんだ。
喜んでくれるかもしれないし、興味ないかもしれないけれど。
わたしの中の、形にした記憶。
大事な思い出。
ハナにも、見てほしいと思う。



