瑠衣は子供の頃から背が高かったけれど、高校に入って1年でさらに伸びたらしい。

現在、180センチ間近。


そんなことを本人の代わりに教えてくれたのは、彼の友人の、栗島くんだった。


「あいつね、水野先生と仲良くなったって自慢してて。
俺だって先生と話してみたいってずっと思ってたのに、ずるいっすよね」


初めてまともに話した栗島くんからそんなことを言われ、まいったな、と内心思った。

片瀬瑠衣と仲良くなったつもりは、別にないんだけどな。


わたしが苦笑いしていると、栗島くんの隣にいた女の子が口をはさんだ。


「水野先生ってこの予備校で一番若い女の先生やし、けっこう人気あるんですよ?
変な生徒から狙われへんように気をつけてくださいね」

「おいこら、涼子。変な生徒って誰のことやねん」

「怒るってことは自覚があるってことやな」


涼子と呼ばれた女の子がいたずらっぽい口調で栗島くんに言い返す。

化粧っ気がない、名前の印象通りさっぱりした顔立ちの子だった。


「ふたりは、片瀬くんと付き合い長いの?」


わたしはなんとなくそんな質問をしてみた。