息を切らしながらあやまる瑠衣は、いつもと違う雰囲気だった。

まぶしいような白のシャツに、チェックのパンツ。

初めて見る、夏の制服姿だ。


「あれ? 今日は学校休みじゃなかったの?」

「うちは土曜授業があるんです」

「そうなんだ」


じゃあ、学校が終わってすぐに駆けつけてくれたってわけか。

なんだか、悪いことをしてしまったな。

わたしから誘ったわけじゃないけど、少し申し訳ない気分になってしまう。


瑠衣はドカッと椅子に座り、シャツの胸元をパタパタあおいだ。

首筋が汗でわずかに光っている。

あちぃ、と小さな声で言うと、喉ぼとけのあたりが震えた。


「で、先生。今日はどっか行きたい所ありますか?」


瑠衣はわたしに向き直り言った。


「え、特にわたしはないけど」

「じゃあ俺が決めてもいい?」


うなずくと、彼は満足そうに笑顔を見せた。