「何それ。意味深やん」


驚いた声で涼子ちゃんが言う。


「今日はその人からの電話待ってへんの?」


「おう。今日はええねん」


はしゃぐ彼らの会話は、心臓の音にかき消されていった。


頭の中で暴れていたのは、11ケタの数字――。







あやふやなものが確信に変わっていったのは、この頃から。


大事な人の電話を待っていると言った、瑠衣の言葉の意味がわからないほど、

わたしは鈍感にはなれなかった。




だけど、今なら思うんだ。


抑えきれなくなる前に、もっと早く気持ちの種を摘み取っておけばよかったと。




……あんなにも、多くの涙を流すくらいなら。