わたしの口元を心配そうに見つめる、瑠衣の瞳。


熱かったのは、舌のはずだ。

なのにそれをかき消すくらい、首から上が熱を持ち始めた。


「あ~もう。何やってんすか、先生」


しょうがないな、というような顔で笑って、瑠衣はわたしの前にアイスティーをすっと差し出した。


「え?」

「冷たいの、飲んだ方がいいと思いますよ」


それは、瑠衣の飲みかけのアイスティー。


別に変な意味があるわけじゃないし、気にする必要はない、

と頭では思う。


なのに、目の前にあるストローに唇を近づけることができなくて……。


「先生?」


瑠衣が首をかしげるようにのぞきこんでくる。

そして正面には、栗島くんと涼子ちゃん。


ダメだ。

固まっていたら変に思われてしまう。